WS30の世界はオルタナティブ・デジカメサイト。デジカメ、MPEG-4動画、PCの話題、サブカル系の駄文コンテンツをどうぞ…
製品評価記事の「裏」を読む  2003/1/16

 雑誌やWebマガジンに「製品評価記事」というのが、よく掲載されています。こうした「製品評価記事」は、雑誌編集部がメーカーから商品を借りて、プロのライターの手でテスト行われて書かれるケースが一般的です。例えばデジカメの場合、一般的にはパソコン雑誌の編集部が商品を借りて、契約しているライターに評価記事を書かせるケースが多いわけです。
 現在、雑誌の収入の60〜70%が広告料です。評価記事を掲載している雑誌は、評価をする製品のメーカーから広告をとっている場合が多く、例えそうでなくとも、広告主となる可能性のあるメーカーに対して、トラブルを起こすわけにはいきません。稀なケースですが、雑誌や特集記事のスタンスが「辛口」の場合には、「この製品は使い物にならない」とか「この製品は購入すべきではない」などと書かれますが、これはある意味で「出来レース」であることが多いわけです。
 こうしたことから、普通製品評価記事は、どうしても無難なものにならざるを得ません。つまり、ライターが実際にテストしてダメな製品と感じた場合でも、はっきりとそれを書くわけにはいかず、「玉虫色の表現」で書くように編集者から釘を刺されます。ライターはライターで、編集社からの原稿依頼がメシの種ですから、編集者の言うとおりに無難な記事を書くのが普通です。
 それに、例え媒体編集部との関係を無視するとしても、ライター個人がメーカーと事を構えることはまずしません。…というよりも、普通そんなことはできません。メーカーと良好な関係を保っておけば、メーカーかから「広告関係のライティング」の仕事が回ってくる可能性があるからです、この「広告関係のコピーライト」とは、例えばメーカータイアップ雑誌への執筆依頼や広報関係媒体への執筆依頼です。これは、一般の雑誌原稿リライトよりもゼロが1つ多いほど、「美味しい仕事」であることが多いのです。これを逃す手はありません。

 しかし、こうした社会的弱者で微力なライターも、人の子です。評価を依頼された製品が、どうしても気に入らないこともあります。こうした時には、皮肉を込めて「褒め殺し」をしたり、さりげなく「チクリと皮肉を書いたり」…いろいろと苦心して、自分の意見を読者に伝えようとするケースも多いのです。

 今回は、製品評価記事の中から、表面的な文章や字句の中からライターの心を読み、玉虫色の表現の中から「行間を読む」「裏を読む」方法をレクチャーします。
 以下に挙げるような表現の、本当の意味をお教えしましょう。これを知っておくと、雑誌などでデジカメの製品評価記事を読む時に、非常に役に立ちます(笑)

※ 裏の意味などない、字句通りの意味で使われているケースもあります(笑)



● 「メーカーのチャレンジ精神には賛辞を送りたい

 最新機能を搭載しているが、それが実用面ではうまく機能していない…というケースでよく使われる言葉です。
 要するに「こんな役に立たない機能を付けてもしょうがないだろう…」と思った時にライターが使う典型的なフレーズです。

● 「万人に勧められる製品

 製品機能をチェックした結果、「あまり褒めるところがない」場合によく使われる典型的な言葉です。
 「このデジカメには特に目立った機能面のアドバンテージがないが、無難な万人向けの機種だ」と書かれていたら、「つまらない機種で自分は使う気はしない」という意味で書いていることが多い…と思ってください。要するに「どうでもいいような機種」という意味で使われることが多いフレーズです。

● 「一般的な用途では十分な性能

 評価対象の製品が、機能面ではっきりと「低い」…と感じた時によく使う言葉です。
 つまり、「レベルの低いユーザーなら、この製品の機能が劣っていることはわからないはず。そうしたユーザーなら使っても文句はでないだろう」…という意味です。

● 「○○にこだわるユーザーにはお勧め

 「非常に機能が偏っていて、バランスがとれていない製品」に対する評価コメントとして使われるフレーズです。要するに、「突出した性能を持っているが、全体的に見て使いものにならない」というケースで、その突出した性能だけを褒めて使うのです。
 まあ、「自分はこれを使う気はしないが、好きな人は使ったらいいんじゃないの」…という意味の言葉です。

● 「○○を気にしない人にはお勧め

 「致命的な欠点があること」を指摘する時に使われる言葉です。例えばデジカメの場合に、「マクロ撮影時のフォーカス性能に問題があるが、それを気にしない人には向いている」と書かれたら、マクロ撮影は使いもにならない…と考えましょう。「多少デザインセンスが悪いが、それを気にしない人には向いている」と書かれたら、とても恥ずかしく人前では持って歩けないようなデザイン…ということです。

● 「モノ作りに対するメーカーの真摯な姿勢を感じる

 よく使われるフレーズですが、2つの意味で使われます。ネガティブなケースでは、例えば「機能面では何も良いところがないが、あらゆるユーザーの利用形態を想定して機能を詰め込んである」というような場合、とりあえず「機能をめいっぱい詰め込んだメーカーでも褒めておこう」として、このフレーズを使います。
 この言葉をポジティブに使っているケースは、逆にもっと要注意です。つまり、「自分の好みに合っている」場合の最大限の賛辞としても使われます。この場合の問題は、「その製品の機能やデザインがテストしたライターの個人的な趣味に合っている」というだけで、別に一般ユーザー全てに等しくよい製品かどうか…という視点を無視しているケースが多いということです。

● 「技術者の良心を感じる

 製品の各所に、ユーザーニーズを汲んでよい機能の製品としようと努力した跡が見られるが、それが実際に有効に機能していない…という場合に使われるフレーズです。つまり、「技術者の良心を感じるが、使いものにはならない」…という評価をした時に、「…が、使いものにはならない」という後半の字句を省略して使われるのです。
 このフレーズも、ときどき「モノ作りに対するメーカーの真摯な姿勢を感じる」と同じように、「自分の好みに合っている」場合の最大限の賛辞としても使われるので、注意しましょう。


Email Webmaster if your incur problems.• Copyright © 2001 yama. ALL RIGHTS RESERVED. Since 2001.1.22
※ 当サイトは Internet Explorer6.0 に最適化されています。