VGAカメラで遊ぶ

WS30の世界はオルタナティブ・デジカメサイト。デジカメ、MPEG-4動画、PCの話題、サブカル系の駄文コンテンツをどうぞ…

｜トップへ｜BBS｜動画・静止画BBS｜私的画像日記｜リンク｜小型デジカメ好き｜デジカメ購入｜海外旅行｜ライター｜

VGAカメラで遊ぶ 2001/1/22

　私は、仕事で使うために購入した製品も含めれば、何台ものデジカメを所有しています。また、仕事やプライベートで銀塩カメラも使ってきました。そんな状況の中で、特に画質がよいわけでもない「WS30」や「Cheez!SPYZ」などの低価格VGA機をあえて購入する理由は、実はほとんどありません。でも、私は「WS30」のカタログスペックを読み、さらに実物を手にとったら、非常に欲しくなりました。で、実際に使ってみたところ、実に楽しいのです。そこで「今、なぜ安価なVGAカメラが楽しいか？」ということを考えてみました。

　私は、かつてVGAのデジカメを長期に渡って愛用した経験があります。それは富士写真フィルム「DS-10」です。VGAカメラ全盛時代に、富士写真フィルムの「CLIP-ITシリーズ」は画質がよいことで知られていました。しかし「DS-10」を購入した時点では、既に100万画素のカメラが普及し始めていました。そんな中であえて「DS-10」を購入した理由は、群を抜いて小型・軽量であること、液晶モニタ無しでバッテリーの持続性がいい、緊急用にアルカリ単三電池が使える…など、日常生活の中で携帯したり海外旅行時に利用するにあたっての利便性が高い点に惹かれたからです。
　実際に期待は裏切られませんでした。特に海外旅行では、小型・軽量である点。そしてバッテリー寿命が長い点は非常に重宝しました。ニューヨークやシカゴ、シアトルなど、手ぶらで歩く時、ポケットに入れておいた「DS-10」でたくさんの撮影をしました。
　VGAデジカメ「DS-10」を長期に渡って使用しているうちに、そのVGA画像は銀塩フィルムカメラのプリントやメガピクセルデジカメの撮影画像に較べてはるかに劣っているにもかかわらず、単に「Web公開目的の画像」撮影の有効性を超えた「それなりに味わいのある画像」として認識し始めました。当時は既に100万画素を超えるデジカメも所有していたにも関わらず、旅行時には必ず「DS-10」を携帯して使い続けるました。つまり「DS-10」は、自分がデジカメを持つ目的に非常に合致した機種であり、しかも十分に目的を満たす画像が得られたのです。

　さて「WS30」は、まさに「DS-10」とよく似た、いやそれ以上に携帯性を追求したカメラです。ここまで高度な「携帯性」を備え、単三電池1本で1000枚以上撮影可能というバッテリー寿命を持っているのなら、得られる画像が多少悪くとも「日常記録カメラ」として味わい深い使い方ができそうだと、直感的に思ったのです。つまり「いつも携帯して、撮りたいときに撮る」…ことができるカメラだと思ったのです。

　光学カメラの世界では、ロシア製のコンパクトカメラ「LOMO」や「HOLGA」などが人気です。「WS30」を持ち歩くことは、この「LOMO」を持ち歩くことと感覚が似ていませんか？「LOMO」は安いカメラで画質が特別良いわけではないけど、撮れる写真には「味」があり、「写真を撮る喜び」、「カメラを操作する喜び」、さらには「所有している喜び」を感じさせてくれるカメラです。

　結局のところ、「よい写真は高画質の写真とは限らない」わけですし、「楽しく写真を撮ることは高価で高機能なカメラを使って写真を撮ることではない」のです。

　「WS30」は、けっして高画質のデジカメではありません。それどころか、強いて言えば「おもちゃデジカメ」であり、非常に水準の低い撮影画像しか得られません。また、限られた機能のVGAデジカメという枠の中で、よい画像を得るための努力を必要とします。それは、手ブレをしないような撮影スタイルだったり、低いダイナミックレンジをカバーするような被写体の選定だったりするわけです。
　最近では、それなりの予算を出して購入する光学カメラやデジカメは、シャッターボタンさえ押せば確実によい写真が撮れる製品が普通です。これらのカメラは高精度のオートフォーカスや測光機能を搭載し、自動的に逆光時の露出補正ができるなど、悪条件下でもよい写真が撮れます。それに較べて「WS30」は、逆光時や暗い被写体などの悪条件下でよい写真を撮るのが非常に難しいのです。でも、「だからこそ面白い」と思って使っています。

　撮影画像の品質は最新デジカメに劣りますが、毎日ポケットに入れて持ち歩く楽しみを与えてくれる「WS30」や「Cheez!SPYZ」は素敵なカメラです。特にホームページ用に使う画像の撮影が目的なら、「WS30」や「Cheez!SPYZ」は機能も撮影画像も全く問題はありません。しかし、Web用としてだけ使うのではなく、あえて「日常記録カメラ」として使ってみたいカメラです。それは「ミノックス」や「LOMO」を持ち歩く感覚…と、全く同じです。