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小型・多機能デジカメ、Konica「KD-300Z」    2002/3/15

 デジカメは、とうとう300万画素機の出荷量が200万画素機の出荷量を上回ったそうです。着々と高画質化が進んでいる中で、トイデジカメや普及機クラスにも特徴ある新製品が続々と登場しています。また、ここへきて200万画素機に注目すべき個性的な新製品が集中していますね。
 次々と新機種が発売・発表される中、もう製品サイクルも終わりに近づいたKonica「KD-300Z」を購入したので、そのインプレションを公開します。

■型落ち直前の機種を安価に購入

 KD-300Zは、2001年7月に発売された「型落ち直前機種」です。あまり人気のある製品ではないことは間違いなく、また次期バージョンへの変更時期でもあって、巷間では大幅に値落ちして販売されています。多機能・ズーム機であり、小型・軽量という点を除いて、私が欲しいデジカメのコンセプト(単焦点/シンプル機能/汎用バッテリー)とは全く異なるコンセプトを持つ製品ですが、300万画素機にしては格安ということで、2002年2月末に約3万円で購入しました。
 パッケージングは、SDカードリーダー無し、SDカードは役に立たない16MBを同梱というもので、これらを一緒に購入するとなると、かなり高いものにつきます。私は、たまたまSDカードもカードリーダーも所有していたので、追加出費もなくすぐに使い始めることができました。
 このKD-300Z、京セラのOEM製品というのはよく知られているところで、「FinecamS3」と全く同じで製品である他、日立マクセルの「ZD3」というゼロハリバートン・デザインの製品とも同一機種です(私は結果的に日立マクセルが発売している全機種を購入したことになります…笑)。
 Konicaは既に「KD-400Z」を発表していおり、これは前面スライド式のなかなかスタイリッシュな製品です。京セラも、次機種の「FinecamS3X」の販売がスタートしていますね。

■サイズ・重量・デザインは悪くない

 旧機種とは言え、KD-300Zの外観はなかなかです。前面投影面積は名刺サイズ。ステンレス合金製の小さなボディは、十分な質感があります。165gと軽量にも関わらず、サイズが小さいために「金属的なズッシリ感」があります。飾りの無いすっきりしたデザインは個人的好みに合っており、少なくとも姉妹機である「FaincamS3」よりは好きです。
 本体前面の右手が掛かる部分には9個の穴が開いており、デザイン上のアクセントと滑り止めの役割を果たしていますが、小さく手ぶれしやすいだけに、もっとしっかりとした滑り止めを設けて欲しかったと思います。
 パソコン接続用のUSB端子はありません。KD-300Zを使うためには、SDカードリーダーが必須です。

■ともかく多機能なカメラ

 1/1.8、334万画素の原色系CCDを採用し、光学2倍ズームレンズ(35mm換算:約38〜76mm相当)を搭載しています。口径は小さいものの、F値は2.8〜3.5と十分な明るさです。シャッター速度は、8〜1/2,000秒と十分なスペックです。
 撮影モードは、スーパーファイン、ファイン、ノーマルが選択できる他、なんと無圧縮のTIFF画像が選択できます。動画撮影機能もありますが、AVI形式で最長15秒ですから、あまり使い途はなくオマケみたいなもの。
 カラーモードの選定、ホワイトバランスの設定、AEモードの選択、MFの選択、感度の選択(2/4倍)…など、機能は上級機なみに豊富です。
 個人的には、測光方式が選択できるのがいいですね。画面分割による評価測光、中央部重点測光、スポット測光が切り替えられますが、私は中央部重点測光で使っています。
 むろん豊富な再生モードも持っていますが、私はほとんど使いません。

■不満点

 電源ONから撮影スタンバイまでにかかる時間は、7〜8秒でしょうか。私が所有しているカメラの中では、もっとも遅い製品です。さらに記録時間も長いので、メリハリのある撮影は無理です。まあ、被写体を選択して1カット、1カットじっくりと撮影するカメラでしょう。
 かといって、なにをやってももたつくような感じではありません。例えば、他のメニュー操作は非常に軽快だし、フォーカス速度も速いです。
 バッテリーは最大の不満です。液晶ONでズームを頻繁に繰り返すと、満充電で40枚ぐらいしか撮影できません。液晶をOFFにしてこまめに電源を切る他、常時AFではなく撮影時AFに設定し、電源自動OFF時間を1分に設定するなど、いろいろと節電すれば80〜100枚ぐらいは撮影できます。
 電池の容量が800mAと小さい割には、充電時間も長いですね。本体にACアダプタを接続した状態で満充電まで5時間もかかります。結局、私はリチウムイオンバッテリーを1個追加購入しました(ザウルス用の充電器が使えるそうです)。とてもじゃないけど、バッテリー1個では、怖くて外に持ち出せません。
 シャッターの感触もよくないですね。シャッターを押し切るには、かなり力が必要です。小型でただでさえ手ブレしやすいカメラなのに、このシャッターではますます手ブレがひどくなる感じ。ノンストロボでの居酒屋撮影は、ほぼ100%手ブレします。まあ、今後慣れてくれば、多少はどうにかなるかもしれません。
 ズーミング音が大きいのには、ちょっとびっくりしました。単にジージーいうだけでなく、2種類の音が混じります。例えば、MZ-1のズーム音などと較べると、体感的には倍以上の音量で、静かな部屋の中では至って耳障りな音です。

■よいところは?

 操作性については、個人的には合格点です。
 撮影モードへの切替は、背面上部の小さなスイッチで行います。マクロモードとストロボモードの切替は、上部に独立したスイッチがあります。撮影時の各種設定は画面下部に並ぶアイコンと十字カーソル+決定ボタンで行うのですが、直感的に理解できるものです。撮影中にMENUボタンを押すと、第一層のメニューで露出補正が可能。
 全体的にわかりやすいインタフェースだし、誤操作も少ないですね。

■画質

 実写画像を見てみましょう。全てファインモード(スーパーファインではありません)で撮影したオリジナル画像で、レタッチはしていません。オートホワイトバランスです。
 いずれも2048×1536dotの画像ですが、ファインモードなのでサイズは900Kbyte前後です。

まずは晴天(うす曇)の風景画像を掲載します(広角側)。



同じ条件で、ちょっと近い風景を写しました(広角側)。



蛍光灯下のオフィスで、オートホワイトバランスのままで撮影しました。手持ちでのマクロ撮影ですが、感度は4倍に設定しました(50ミリ前後)。



高いところに咲いていた花です。強い風に揺れていたので少しブレています(望遠側)。



 所有している他の300万画素機と比較すると、並またはそれ以下の解像度ですが、まあまあシャープな画像が得られます。スーパーファインモードで撮影すると、ここに挙げた画像よりもさらにノイズ感が減ります。
 ラチチュードは広く、明暗の差が大きい被写体や逆光などの悪条件でもまず画面は破綻しません。白飛びも黒ツブレもほとんど無いので、条件を問わず安心して撮影できます。
 オートホワイトバランスの設定で撮影した画像は、色味が薄めで地味な感じ。例えばDC3800による撮影画像の色味と較べると、正反対の雰囲気です。しかし色の誇張はほとんどなく、これは比較的好ましいものです。  2番目の画像を見ると判るとおり、赤の発色も比較的自然です。レタッチを前提とした素材画像と考えれば、まあ優秀な方ではないかと思います。

■評価…「出来の悪い子供」はかわいい !?

 小さいくせに、「軽快感」が全くないデジカメです。スタンバイ時間、記録時間がかかるのでスナップ向きではありません。バッテリ寿命が短い点、しかも専用リチウム電池を使用する点は、個人的には大きなマイナスです。海外旅行なんかには、まず持っていく気にならないデジカメです。小型デジカメにズームレンズなんて不要な上、その動作がうるさい点も不満です。
 …というわけで不満点の方が多いデジカメなんですが、全く面白くないかと言えば、そういうわけでもない。とりあえずオートで撮った画像は悪くないし、妙に重厚なマニアックなイメージもあって、なんとなく「高級銀塩コンパクトカメラ」的な雰囲気があるのです。手ブレしやすいので、「どうやったら手ブレせずに撮れるか」をいろいろと試みる楽しさなんかもあります。
 私は多機能カメラが嫌いで、目に付いたものをパッとオートで撮るスタイルなのですが、KD-300Zの場合はそんな使い方は無理。でも、どうせ起動時間も遅いのだからいろいろ設定を変えて撮ってみよう…という感じで遊んでいます(そのうち飽きるでしょうけど…笑)。
 最後に1つだけ気にいったことがあります。それはACアダプター用の電源プラグに、東南アジアやヨーロッパで一般的に使える海外用のプラグが付属していたこと。むろんアダプタの電源は240Vまで対応します。これはいいですね。


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