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デジカメは「3万円」で選ぶ時代   2002/6/25

 私は最近、趣味で使うデジカメの購入予算について「3万円」を基準に考えています。
 ここへ来てデジカメの製品サイクルがますます短くなり、型落ち機種の値下がり時期が早まってきました。むろんデジカメは最新機種の方が高性能なのは当たり前ですが、ここ1年ほどの間に発売された機種を比較すると、基本機能に大きな差はありません。

■デジカメの実売価格

 最新の普及クラスのデジカメについて見てみると、200万画素で4万円、300万画素で5万円、400万画素で6万円…といったあたりが、発売直後の標準的な実売価格となりつつあります。この実売価格は、よほどの人気機種ではない限り、だいたい3〜6ヶ月で1万円は下がります。また、発売後6ヶ月以上経過した不人気機種の在庫処分といったケースでは、2万円下がるケースもあります。
 これらの価格帯の商品は、概ね機能差がありません。同じようなCCDを使い、光学系は3倍ズームが一般的、むろん画質も大差ありません。コンセプトや外観デザイン面でそれなりに個性を持つ機種はありますが、まあどれを買ってもマルチパーパスに使える製品ばかりです。
 こうして見ると「3万円」というのは、「発売から数ヶ月を経過した標準的な200万画素機」、または「不人気300万画素機の在庫処分品」の価格…、ということになります。むろん、200万画素機であっても人気機種の一部は3万円ラインまで値下がりしませんが、そんな高い機種は最初から選択肢に入れなければよいのです。
 本体の実売価格が3万円なら、初めて購入するユーザーが追加の記録メディアや予備バッテリーを購入しても、総額4万円以下の出費に収まります。私は、このあたりが妥当な「デジカメ予算」だと思います。

■スナップ用デジカメは「3万円の200万画素機」を選ぶ

 画質について、もうちょっと考えてみます。難しい話は抜きにして、「200万画素以上の機種なら、300万画素機でも400万画素機でも大きな差は無い」という個人的な見解について、あらためて説明しておきます。
 「200万画素機よりも300万画素機の方が高画質じゃないか!」…って、そりゃ当たり前です。しかし、記念撮影や日常スナップの画像を、「撮影画像をパソコン上で見る」「キャビネ版程度にプリントする」…という用途の範囲で考えると、実用上の差があるとは思えません。200万画素機と300万画素機で撮影した画像の画質差よりも、手ブレしている画像と手ブレしていない画像の差の方が大きいですね。つまり、200万画素できちんと撮れた画像と、300万画素で微妙に手ブレした画像を比較すると、前者の方がきれいってことです。手ブレだけでなく、撮影時の光の具合などでも画質は大きく変わります。要するに、ちゃんと撮影された画像を一般的な範囲で利用するのなら、200万画素機で十分でしょう。
 また、日常ユースで200万画素機が使いやすい理由の1つに、画像データの容量がほどほどに小さい点も挙げることができます。撮影画像のデータサイズについてはJPEGの圧縮率の問題などもあって、必ずしも画素数だけでは決まりませんが、概ね機種間の差は小さいようです。海外旅行などでデジカメをよく利用する私は、128MBのメモリカード1枚で最高画質で100枚以上、次善の画質で200枚以上撮影できる機種に魅力を感じます。
 ちょっと乱暴な話かもしれませんが、日常スナップや記念撮影が目的なら、あらゆる意味で200万画素機ぐらいが使いやすいのです。メディアやバッテリーのランニングコストも安価です。
 考えてみると、私が日常スナップ用、旅行用に常用するデジカメは、ここのところ「3万円前後の200万画素機」ばかりです。最もよく使う「COOLPIX2500」の購入金額は約3万円以下ですし、「MZ-1」も今では3万円ちょっとで購入できます。「DC3800」も購入時点で3万円ちょっとです。愛用する小型300万画素機「KD-300Z」も、同じく約3万円で購入しました。本当に、最近では3万円以上のデジカメを購入する気がしなくなってきました。「COOLPIX2500」などは、200万画素機の中ではトップクラスの画質と使いやすさだと思います。

■仕事用には「不人気300万画素機」を…

 デジカメで絶対的な高画質画像を必要とするのは、印刷用原稿の分野です。空気感や質感などにこだわる広告用写真分野などでは、デジカメは使えない…というのが定説ですが、確かにその通りです。最近では、こうした高画質商業写真分野でもデジカメを使う例が増えつつありますが、一眼レフタイプのデジカメを使うのが普通です。
 反面、ごく一般的な雑誌、例えばコンビニに並んでいる雑誌(カタログ雑誌、パソコン雑誌等)で使われる画像の大半は、民生用のデジカメで十分に対応できますし、実際にデジカメで撮影されています。
 民生用300万画素機では、むろん広告用やグラビア向けの商品撮影には非力です。それでも、ライティングや露出が完璧で、レタッチの腕がよければ、相当の水準の画像を撮影することが可能です。私が制作に関わっているのは、パソコン雑誌や技術書が多いのですが、これらの記事中で使う商品写真等は、ほぼ100%がデジカメによる撮影です。メーカーが用意した4×5のポジなどと混在して使っても、一般の読者が見て顕著な差があるとは絶対に見えないはずです。
 その他、私のオフィスでは広範囲に雑誌原稿や書籍の企画・ライティング、編集…などの仕事を受託していますが、有名誌や単行本に掲載する商品写真やロケ写真、インタビュー時の人物写真等でもデジカメを使って撮影する例が多くなってきました。しかも300〜400万画素のデジカメを使う例が多いですね。
 いずれにしても、印刷面積で縦横が15センチくらいまでの印刷原稿用画像なら、ライティングと露出に留意して三脚を使って撮影すれば300万画素機で十分に撮影できます。ただし、この場合TIFFモードがあるか、JPEGの圧縮率が低いか…いずれにしても高画質機であるのが条件です。また、パースペクティブをコントロールするためにズームを搭載している方が使いやすいですね。
 先日も私の知人が経営している編集プロダクション(一般雑誌の特集記事やタウン誌の編集とWeb制作)で、スタッフ全員に取材用のデジカメをまとめて購入する…という機会がありました。購入する予算が少ないということなので、私はそのときちょうど安かったMINOLTA「DiMAGE S304」(300万画素/×4ズーム)を薦めました。結果、約3万円で購入した7台のS304を各スタッフが持ち、店舗ロケ写真やインタビュー場面の撮影などに使っています。タウン誌の印刷レベルでの仕上がりについては何の問題もありません。
 この「DiMAGE S304」に限らず、CASIO「QV-3500EX」、オリンパス「CAMEDIA C-300ZOOM」など、仕事用に十分に使える画質の300万画素クラスのデジカメが3万円前後で購入できます。

■その他3万円で買える機種

 さて、廉売機種、不人気機種、型落ち寸前機種などからコストパフォーマンスのよい機種を探そう…というのが、このページの趣旨なんですが、そうじゃなくとも最新機種で実売3万円以下の200万画素機も増えています。例えば、東芝「sora PDR-T10」やCANON「PowerShot A200」、ソニー「Cyber-shot DSC-P31」などはAF機構を持つ200万画素単焦点機ですが、実売価格3万円を切っています。
 3倍ズームの富士写真フィルム「FinePix2600Z」、Konica「KD-210Z」なども、光学ズームを搭載していながら3万円を大きく下回る価格で購入することができます。いずれも廉価販売を目的に作られているため、多少作りがチープな点を我慢すれば、日常スナップには使いやすい機種が目白押しです。中でも25,000円台で購入できるKonica「KD-210Z」は、実際に使ってみる機会がありましたが、価格と性能のバランスがとれたよいデジカメだと感じました。Panasonic「DMC-LC20」も3万円前後で販売されています。短期間ですが使ってみて、巷間で言われるほど画質に問題はなく、ちょっとボディが大きめですが使いやすい機種だと感じました。このあたりの機種を選択しても、画質等で後悔することはまずありません。3万円で買えるデジカメは実に多彩です。

 余談になりますが、それにしても「3万円」って微妙な金額ですね。彼女と2人でちょっと美味しい店で食事して、その後バーで飲んだら簡単に無くなる金額ですね。服なら、ビンテージ・ジーンズを1本買っただけで3万円します。なんとなくアッという間に無くなっちゃうお金です。反面、1人暮らしの学生が自炊すると、1ヶ月分の食費を賄うことができます。また、うまく探せば3万円ちょっとでアメリカ西海岸やバンコクまでの格安往復航空券を買うことだってできます。中古の原付バイクだって買えるし…。有効に使おうと思えば、ずいぶんいろいろなことができそうです。
 こうして考えてみると、デジカメの3万円って安いんでしょうか、それとも高いんでしょうか?


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